2006年06月05日

福祉ネットワーク「こくっぱ家の人々〜発達障害の子どもと共に〜」(6)

(ナレーション)
 4月。

 いよいよ新学期です。

 今朝はこくっぱの様子がいつもと違います。

 ベッドからなかなか起きようとしないのです。

 姉のののちゃんが起こそうとしました。

 しかし、すぐに倒れて嫌がります。

 30分後、ようやく着替えたこくっぱ。

 でも、また布団に潜り込んでしまいました。

 さよさんは声を荒げることなく、起きるようにと、耳元でささやきます。

 内心不安を抱えながらも、辛抱強くこらえるさよさん。


(母)
 大丈夫、あと10分あるから。

 まだ大丈夫。


(ナレーション)
 時間がまだあると伝え、こくっぱが自分から起きあがるのを待ちます。

 そして5分後。

 ふたたびこくっぱの元へ。


(母)
 おかあさんが助けてあげる。


(ナレーション)
 今度は素直に起きあがりました。


[こくっぱ、母の顔を指で突こうとする。]


(母)
 顔はやめて。


(ハカセ)
 やっていいのは、オレのつむじ。


[ハカセ、こくっぱの手をつかんで自分のつむじに当てる。]


(母)
 つむじだって。


[こくっぱ、両手でハカセの頭をつかみ、グルッと回そうとする。]


(母)
 回らん、回らん、頭は回らん。


(こくっぱ)
 おかあちゃん、学校休ん…

 おかあちゃん、地獄行ってもいい?


(母)
 学校に行ってください。


(こくっぱ)
 切腹!


(母)
 切腹はスポーツではありません。


(ナレーション)
 学校に行きたくないという気持ちを巧みにほぐしていきます。


(ハカセ)
 行くぞー!


(大和ののさん)
 ちょっと、まだ早いよ。


(母)
 もういい、行く気になっとるんじゃけ、そんなこと言わずに。


(ナレーション)
 何とか危機を乗り切りました。


(母)
 行ったぞ!

 …ああ!


(母)
 こうあるべきだと思ったところから始めると、そうなれないことに、ストレスがすごいと思うんですよ。

 だから、良い子とはこういうもんだとか…

 学校に行かないと将来がないとかっていうふうに考えていっちゃうと…

 もう、うちの子なんかとてもじゃないけど…

 とんでもないと思うんですよね、だけど、そうじゃなくて…

 何ていうか、多分自分の中にこうあるべきだというのはない…

 だから毎日出来るだけ楽しくて、ちょっとずつちっちゃい楽しいのがいっぱい重なっていって…

 いつも楽しいのがいいかなっていう…

 気楽なのかな…


(ナレーション)
 新学期が始まって1ヶ月。

 ハカセとこくっぱは新しい学校生活に溶け込もうとしています。

 
(5月2日の日記)
 今まで新しいことが起きるたび、なかなかなじむことが出来なかった息子達。

 ところが、この春、大きな変化にもかかわらず、登校拒否にはなりませんでした。

 新しいことに対する免疫が、だんだん増えてきたことを実感します。

 子供は確実に成長するものだと、なんだかほっとしています。

 これからは、いろいろあっても、ますます安心して帰ってこられるお家にしよう。

 どんなにしんどいことがあっても、そのままの君たちが大好きだよと言ってあげ続けよう。

 もう、それくらいしか、かあちゃんに出来ることはない気がします。

 母ちゃんもワンステージクリア、かな。


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福祉ネットワーク「こくっぱ家の人々〜発達障害の子どもと共に〜」(5)

(ナレーション)
 今、さよさんの気がかりは、ハカセが中学校に進学することです。

この日は中学校の下見です。

 中学に入ると、これまでよりも集団活動の機会が増えます。

 仲間づきあいの苦手なハカセが、上手くコミュニケーションを取れるのかが問題です。


(ハカセ…体育館の中を覗きながら)
 いっぱいいる。


(ナレーション)
 クラブ活動を見学したハカセ。

 でも、熱中したのは卓球の球拾いでした。

 結局、先輩達には話しかけることなく、終わってしまいました。

 ハカセは中学校での生活になじめるのでしょうか。


 3月下旬。

 小学校の卒業式です。

 ハカセの新しい旅立ちです。

 さよさんは嬉しい反面、もう一つの不安を抱えていました。

 4月からハカセのいない学校に通うこくっぱのことです。

 こくっぱは、これまで4年間、ずっとハカセと一緒にいることで安心感を得ていました。

 学校でただ一人気持ちを伝えあえるハカセがいなくなった後、どうなるのかが気がかりです。


(母)
 健ちゃんが中学校に行くことは理解しているけれど、健ちゃんがいなくなったら、どういう風な学校生活になるのかっていうのは、多分、分かってないから…

 さみしい…、さみしいっていうか、どうなるのかなー、わからないですねー。


(ナレーション)
 卒業式が終わった夜、さよさんはこくっぱの心の準備のために、あることを考えました。

 ハカセに中学校の制服を着せ、こくっぱに見せることにしたのです。

 こくっぱは環境の変化に戸惑い、パニックに陥ることがあるからです。


(ハカセ…制服を見せながら)
 ようっ!


(こくっぱ)
 あっ、似あっとるかも。


(母)
 征ちゃん、これ着てね、健ちゃん中学校へ行くんだよ、どう?

 かっこいい?


(こくっぱ)
 うん。


(母)
 うん?


(ナレーション)
 ハカセの制服姿を見た後、こくっぱは不意に2階へ駆け上がってしまいました。

 果たして納得してくれたのでしょうか。


(こくっぱ…視線に気付いて)
 一人にせいって。


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福祉ネットワーク「こくっぱ家の人々〜発達障害の子どもと共に〜」(4)

(母)
 まっすぐ行ってもいいですか、曲がりますか。


(こくっぱ)
 まっすぐの方がいいかな。


(ナレーション)
 さよさんは、それまでうかがい知れなかった息子の心の世界にようやく触れることが出来ました。


(母)
 私が持ってる物差しと、子供達が持ってる物差し。

 ものの見方、ものの測り方って全然違ってて…

 もしかしたら形まで違ってるかもしれないんだけれど…

 自分が子供を育てるまではそんなこと思ってなくて…

 やっぱり、世の中はこうなんだ、だからこういう時にはこうしなければいけないというのがすごくあったんです、自分の中に。

 でも、息子達と日常的に接する中で、自分の物差しですべてを測ってしまったんじゃ、この子達の気持ちは分からないなというのが分かった。

 やっぱり、どういう物差しをそれぞれの子供が持っているのか、知るのが一番平和だなという結論になったのでしょうね。

 だから、それを探るのが面白い。


(ナレーション)
 さよさんを変えた出来事がもう一つあります。

 幼い頃のこくっぱとハカセは極端な偏食でした。

 どんなに工夫して料理しても、口にするのは牛乳とヨーグルトぐらい。


(母)
 最初はね、優しく「食べてねー」とか言ってるんですけど、いつまで経っても食べてもらえないと、口開けて食べなさい、ってだんだんなって来るじゃないですか。

 険悪ですよね、雰囲気。お食事時間が。


(ナレーション)
 そんなさよさんを変えたのは、おじいちゃんの一言でした。

 いらだつさよさんに向かって、「牛乳飲んでりゃ 死にゃあせん」と言ったのです。


(母)
 何か憑きものが落ちたっていうか。

 もう止めようと、馬鹿な努力は。

 考え方を変えた。

 だから、まず今彼らが食べれるものからまず大事にして、それに何が足りないかを考えたらいいかな、とか。

 実際、牛乳を飲めてれば栄養失調というか、極端に倒れるようなことはないだろうと。


(ナレーション)
 おじいちゃんの一言から9年。

 この日食卓に上ったのは、鶏の唐揚げにマカロニサラダ、そしてキャベツです。

 以前は見るのも嫌だったミニトマトに触れるようになりました。

 瓶から取り出しているのは鮭のフレーク。

 鶏肉には口を付けませんでした。

 でも、魚を食べられるようになっただけ大きな進歩です。

 ハカセは相変わらず生野菜は食べません。

 でも、鶏肉はしっかり食べました。


(母)
 家の者にしてみれば、それこそすごい成長しているように感じるんですよね。

 そういうのずーっと経験してきているから、今は落ち着いている…

 少々状態はどうなっても、長い目で見れば成長するんだっていう思いがあるから、あんまり焦らないっていったらおかしいか…

 子供を信用してる、うん。


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posted by otoko-oya.管理人 at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | テレビ番組(障がい者と家族・仲間) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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